心構え

「やさしい日本語」を書くにあたり、必要だと思う心構えを挙げてみたいと思います。

  1. 伝わる内容は言いたいことの半分以下だと思え。
    「やさしい日本語」は日本語そのものではなく、その一部だけを使うものです。そのため、当然ながら「やさしい日本語」では表現することのできない内容があります。「表現できる内容は、表現したい内容の半分以下」というつもりでいないと、書きたいことがどうしても「やさしい日本語」では表現できない、という不満だけがつのることになるでしょう。

  2. 本当に伝えなくてはならないことだけ書け。
    上記の通り、通常の日本語のかなりの部分は「やさしい日本語」にすることができません。そのため、「どうしても伝えなければならない部分はどこなのか」を考えて、最低限その部分だけは「やさしい日本語」にすることが必要です。

  3. 婉曲な表現は避けて、単刀直入に書け。
    聞き手や第三者に配慮して回りくどく表現した内容や、責任回避のため判断を保留するような表現は、ほとんど「やさしい日本語」にすることができません。また、婉曲な表現の文を外国人が読んで理解できたとしても、その細かいニュアンス(たとえば「情報として伝えるが、その真偽について当局は責任を負えない」等)まではほとんど伝わらないといってよいでしょう。保留、伝聞、推測などの表現は全て省き、直接的な内容の記述、直接的な指示を心がけましょう。

  4. どうしても言いたいことでも、伝わらなければ無意味。
    内容的にどうしても言っておきたいことを文章に付け加えていくと、だんだん文章が複雑になっていきます。複雑な文章は外国人には伝わりにくいので、結局「言っておきたいこと」を書いたことに意味がなくなってしまいます。書いても伝わらなければ無意味であり、単に文章を書いた人の自己満足に過ぎなくなります。「何を書きたいのか」ではなく、「何を書いたら通じるのか」を考えながら文を書く必要があります。